第010回国会 運輸委員会 第27号
昭和26年5月30日(水曜日)
   午後2時5分開会
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  委員の異動
5月28日委員小泉秀吉君辞任につ
き、その補欠として金子洋文君を議長
において指名した。
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  本日の会議に付した事件
○一般運輸に関する調査に関する件
 (海上保安庁事件に関する件)
○モーター・ボート競走法案(衆議院
 提出)
○連合委員会開会の件
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○モーター・ボート競走法案(衆議院提出)

○委員長(植竹春彦君) それでは次にモーター・ボート競走法案を議題に供します。ちよつと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
○委員長(植竹春彦君) 速記を始めて下さい。
○小酒井義男君 提案者に先ずお尋ねいたしたいことは、御承知のように競輪が、本国会においても存廃の問題が論議をされているわけでありますが、そういうときに、これと類似した行為の伴うこの法案を御提出なさるということについて、何か私どもすつきりせんといいますか、いろいろ国民から見ている国会の審議の問題について、こうした法案を上程することがどうしても必要だつたというふうにお考えになることがありましたら、その理由を一つお聞かせ願いたいと思います。
○衆議院議員(坪内八郎君) お答えいたします。競輪が最近問題になつている矢先に、こういつた法案を出すということについては、どうかということのお尋ねのようでございますが、もともとモーター・ボートの法案の提出に当りましては、競輪以上に早くこれを提出したいというのが我々提案者の念願であり、更に又これを発案した方の念願であつたのでありまするけれども、いろいろな事情の下に今日これが遅れまして、今お尋ねのようなこともいろいろ言われているようなわけでありまするけれども、そういつた意味で早くこれを出したいということであつたのでありまするけれども、まあ時期が非常に遅れてしまつたというわけであります。更に又今日いろいろ競輪のよつて生ずる弊害について競輪粛正論が出ておりまするが、私どもはこの競輪の弊害というものは一にかかつて選手或いは審判員の質と申しましようか、そういうものに重大な欠陷があるのじやないかということを考えまして、このモーター・ボート競走法案におきましては、特に選手と審判員につきましては試験登録制を設けまして、そうしてそういつた弊害が伴わないように愼重な研究をいたしておるのであります。従つて競輪につきましてはいろいろ問題もありますけれども、私は競輪法そのものは大変結構な法律であるというふうに考えておるのでありまして、ただそのやり方について多少研究すべき点があるのじやないかというようなことも私は考えておる次第であります。従つてそういつた競輪の不備欠陷をむしろこのモーター・ボート競走法案によつて補つて競輪のそういつた欠陷をこのモーター・ボート競走法案によつて啓蒙して行くというような飛躍した気持で、今日第一條に謳われているような目的の下にこれが提案された次第であります。
○小酒井義男君 私もこの第一條の趣旨は、これは非常に結構だと思うのです。これから自立経済を達成する上においては外国との貿易というようなことが大きく取上げられなければならんと思うのです。そういう趣旨でもありますし、更に海事思想、観光事業の問題とか、或いは地方財政にまで発展をして寄與するところのこの趣旨は私も全面的に賛意を表するわけです。併し問題はこれに伴うところの、つまり勝舟券を売るという、競輪と類似したあの行為を伴うことが一番問題だと思う。で私は提案者としてはこういう行為の伴わない方法でこうした産業を振興させるようなことが考えられなかつたか。お考えになつたことがあつたら、こういう方法があるというような点について一つお考えを伺いたいと思います。
○衆議院議員(坪内八郎君) 御尤もな御意見でございまするが、もともとこのモーター・ボート競走法案の発案者は、当委員会に毎日傍聴に来ておられて顔を御存じかとも思いますが、非常に
このモーター・ボートに造詣の深い福島世根という女性の方が発案しておりまして、更にそういつた面に特に理解のある、非常に体験の深い堤君といつたような方々がこのモーター・ボート競走法案の起草をいたしたのであります。このモーターボート競走法案を起草するに当りまして、第一に社会事業をやろう、これによつて生じた利益で社会事業をやろう、而も地方財政の收入となる收入面におけるその財源を以てむしろそういつた社会の福祉となるような事業にでも投資して貰おうというような観点から、このモーター・ボート競走法案を発案いたしまして、そうして我々提案者にもいろいろ話がありまして、こういつた法案を提案いたした次第であります。けれども、何と申しましても、相当に資金と申しましようか、そういつた財源面を確保するにあらざれば、そういつた社会事業も真に目的を達することができないというような考えの下に、理想的な競走の方法を考えて、そうして或る程度そこに資金なり或いはそういつた金融面をキヤツチいたしまして、そうしてそれによつて、発案者なり、或いはこの第一條に規定してあるような目的を達する。それについては先ず一にも二にも金である。こういう意味でこの法律の提案に相成つておる次第であります。
○小酒井義男君 御承知のように、競輪を始めるときにも現在のようないろいろ問題になることが予想をされれば相当問題になつたと思うのでありますが、それが予想されない結果いろいろ家庭的にも種々な不健康な国民生活の面が露呈をして来ているわけです。従つてこの法案でやればそうした問題が起らないというふうに御説明になつておりますが、例えば第九條のごときものを見ましても、本人がいろいろな行為を行わないでも、関係者は券を買うことができぬというふうに規定はせられております、併しそれをそのまま全部の人が守れば問題がないのですが、やはり本人がやらなくとも家族なり或いは友達を通じてそういう行為は幾らでも行えるわけです。そういうことをしておけばそれらの問題は防いで行けるというふうにお考えになつておるのですか。
○衆議院議員(坪内八郎君) 全くお話の通りの点もあるのでございまするが、先ほども申上げました通り、競輪法そのものが私は悪いのじやないと考えている一人でございますが、ただそれの運営方法が惡いということについては問題があろうかと思うのであります。而もそれに直接携つている選手なり或いは審判員というところに問題があるのでございまして、私どものモーター・ボート競走法案におきましては、お手許に差上げてある資料にもあります通り、選手が非常に質がいい、例えば選手のほうにおいてはいわゆる新制高校なり或いは旧制の中学卒業以上の者、或いは審判員は旧制の高校、專門学校、或いはこれを卒業したと同等の力以上の者を省令によつて運輸省が登録をいたしまして、そうして嚴重な監督の下に行う規定に相成つておりますので、選手なり或いは審判員の質が、必ずしも私は競輪の選手、審判員が惡いということは申しませんけれども、競輪を行うところの選手、審判員以上のそういつた知性の人々がこれに携りますので、そういうことは万々なかろうというように期待をいたしておる次第であります。
○小酒井義男君 この法案が出ましてから各方面の意見を聞いているわけなんですが、これが実際行われるようになつても、経費の面で継続はできんのではないだろうかというような意見が相当ある。提案者はこれをやれば、大体どのくらいの人が見に来ると言えますか、これに集つてそうしてどういうような収入があつて、この事業といいますか、仕事が成立つて行くのだというようなことについて何か具体的な、何といいますか資料と言つちやなんですが御見解で結構なんですが。
○衆議院議員(坪内八郎君) 尤もなお尋ねでございまして、衆議院におきましても、或いは先般の合同審査会におきましても、その点はいろいろ質問があつたところでございます。従つてこれを行うに当りまして採算がとれるかということにつきましては提案者の私たちもあらゆる角度から検討をいたしたのでございまするが、尤も私はこれの経験はありませんけれども、多年こういつたモーター・ボートに携つている人方の科学的な資料その他によつてお話を承りますと、大体五千人入場者があると採算がとれるというようなことが原則的に考えられるのだということも承つているのであります。従つて競輪やオートバイの競争と違いまして、申すまでもなくこのモーター・ボートの競走は広々とした海面を利用してこれを行いますので、理想的な設備をこしらえようといたしますればかなりの施設が要るでありましようけれども、全然金をかけないでやろうと思つたならば、金をかけないでできるということも承わつております。それは例えば簡單な入場券を買うボックスを建てて、そのボックスの切符売り人といいましようか、そういうような者は戰争未亡人を使うとか、そういつた面でそうした人たちを使いましてそう別に施設は要らない。ただうんと理想的に施設を作ろうということであれば金は要るけれども、その別に大きな建設費と申しましようか、或いは施設費というものは要らないでこれが行われるということがこの法案の一つの特色でもあるわけであります。従つて競輪などのごとき、ああいつた何千万円というような経費を要しないで、極く少い経費でこれが行われるというのがこの法案の一つの特色でもあるわけであります。従いまして大体五千人くらい入場いたしますればこの採算がとれるというふうに承わつているわけであります。
○小酒井義男君 最後に私寡聞でありまして、ボート・レースに賭をするというようなことが、公然と行われている国はないというふうに聞いているのです。非公式にはいろいろな行為があると思うのですがそういうスポーツとしてのボート・レースというものを賭をするような行為を伴うことにすることを日本だけがきめるということは、非常に私は恥かしいことじやないかと思うのですが、そういうことについて何か外にでもそういう行為を行なつている所がありましたら一つ参考にお聞かせ願いたいと思います。
○衆議院議員(坪内八郎君) 全くこれも御尤もなお尋ねでございまして、大体こういつたモーター・ボートの競走に競走会を作つてこういつた正式にそういうことをやるということは、外国にはないそうであります。併しながら話に聞きますると、アメリカあたりでも一年間には千回もこういつたモーター・ボートの競走をやる、そうしてまあひそかに莫大な、いろいろ金をかけてやつているということも承わつている次第でありまするが、私が申すまでもなく、この日本人というものの社会という観念がどうも諸外国と考え方が違うようであります。それは封建的な日本の家族制度の思想とか或いは日本のよつて来たつた今日までの国柄がそうあるんじやないかと思うのでありまするが、社会ということよりも家を大事にするというような思想があるようでして、社会ということの概念が違うように思うのであります。そういつた面からいたしまして、何か社会的な事業でも起そうというような場合でも、なかなか外国のようにスムースに行われないという難点もあるのでございまして、従つて第一條の目的を達する限りにおいて、そういう日本だけの考え方でありますけれども、こういつた競走によつて財源をつかんで、そうして外国より遅れているところのそういつた社会事業の面に大いに寄與しようというのが狙いでございまして、私たちの聞く範囲内におきましては、モーター・ボートの競走はアメリカによらず、或いはイギリスその他フランス、イタリーなど外国にもたくさんあるようでありますけれども、こういつた競走法によつて射倖心を或る程度そそつて競走を行うという例はまあないように聞いている次第であります。
○菊川孝夫君 第一にお尋ねいたしたいのは、競輪法が通つた場合も、院外の国民の批評というものは、大体議員立法というのはこのくらいなものよりできないという批判を浴びたことは坪内さんも御承知になつておられるはずだと思います。競輪が繁昌いたしましてとにかくそれに関係している人は一部の人であるかもしれないが、まあかなりの儲けをしたというのがこれは一般の通評になつております。事実どのくらいあるかわかりませんが、この問題も出て参りましたので、調査のために幹部を呼びましていろいろ調べましたが、なかなか説くところは非常に理想的なようなことを言うのでありますが、この法案を見ましても、要するに一番のこの法律の穴と申しますか、一番の大事な点というものは勝舟投票権というものにあるだろうと思うのであります。これを抜きにしたら、又これを仮に修正されるということになつたら、むしろそれならやめてくれということになるだろうと思うのであります。これが一番穴でありまして、いろいろと理由を掲げられ且つ述べられておりますけれども、一番の狙いは勝舟投票権にあると私は見ております。従つてとにかく競馬、競輪等におけるあの馬券、車券はやはり国民の射倖心を利用して金を集める、こういうことにあると思うのであります。で当委員会においてはモーター・ボートの法律案がかかつております。それから農林委員会には御承知の通りに犬を走らせるという法案がかかつております。これが通過した曉におきましてはすでに闘牛法案というのを一部の有志議員が用意いたしておりまして、あれは徳島県のほうが主な発生地だそうですが、牛にけんかをさしてそうしてそれにかけをやつて投票券を売つてやるというのを用意しておるそうであります。又一部有志議員の中には若しこれが通つたならば、鶏にけんかをさした闘鶏法案というのを用意しているということであります。なお又聞くところによりますと、小型自動車の競走を、アメリカのように一人で運転する小型自動車競走法案というものを一部有志議員の間には用意されている。これが逐次どんどん議員立法として通過されるということになつた曉におきましては、まあ議員がこしらえる法案は率直に申しまして、大体ばくち法案ばかりをこしらえるというような批判が起きないとも限らないと私は思うのであります。そういうような趨勢も坪内さんは、或いは提案者の皆さん方はお考えの上、将来もこういうものはどしどし日本ではこしらえようと、こういうお考えの上に立つてこの提案をされたかどうか、この点について一つお伺いいたしたいと思います。
○衆議院議員(坪内八郎君) お説の点同感な点もあるのでありまするが、私ども今度出て来るところのいろいろな、今お話のような法案のことについてはまだ具体的には承わつていないのであります。併しながら先ほど私お話申上げました通り、競輪法というものは国会で認められて今日ここに至つたのでありまするが、申すまでもなくあの競輪法でさえ趣旨は非常に結構だと、而もそれは戰災都市の財政面の窮余の一策としてこれを行うんだということで国会を通過したと、かように承わつているのでありまするが、従いましてこのモーター・ボートの競走法案におきましても、先ほど申上げました通り、競輪においてはああいつた欠陷なり或いは不祥事件なり、或いは今日競輪粛正論なども出ておるようであるけれども、それは法案そのものが悪いのではなくして、それを運営する運営面に大きな欠陷があるんだから、私どもはそういう欠陷を補つてそうして第一條に謳われているような、こういつた目的が十分に達せられる限りにおいてならば、一つこれをやつてみようというような考えでございまして、恐らく国会であらゆる角度から愼重に検討、研究或いは審査して下さいまして、これに協賛を頂けますならば誠に結構なものであると、かように考えている次第でございます。
○菊川孝夫君 今の点につきまして、これはまあ大きな目から一遍この種の競技全般として考えなければならんと思うのであります。それぞれ特徴はあると思います。例えばドツグ・レースにいたしましても、犬の品種の改良或いは牛のけんかをやるとなれば牛の品種の改良、鶏のにやらせれば鶏の品種の改良、小型自動車をやつたならば小型自動車のやはりエンジンの改良というような、それぞれ又これが延いては地方自治体のまあ財政を潤わさせるということにもなりましようし、又且つはそこに戰災未亡人を吸収し得るというようなことがあると思うのでありまするが、併し日本の現在の状態から考えまして、この種の競技というのは一応私は飽和状態にあるのではないか、そうしてちよつと批判の段階に来ているんじやないか、こういうふうに大きな日本全般の目から見まして考えるのでありますが、じやあなたのお考えではまだまだこういうのを殖やす方がいいと、こういうお考えの上に立つて提案されておるかどうか、この点について根本的な大事な点だと思いますので。
○衆議院議員(坪内八郎君) 提案者の一人といたしましては、こういつた種類の法律が今後どしどしふえることがいいものであるか、或いはそういうものが出て来ないことがいいものであるか、これは申すまでもなく国会の両院の協議におきまして決定されるものでありますので、私が何とも申しがたいのでありますけれども、私の期待すると申しましようか、そういう意味から申しますると、権威ある国会におきまして、競輪法が今認められて実際にこれが運営されている、従つて競輪法が廃止されるならば、恐らくそれに似たようなこのモーター・ボート競走法案も廃止になるであろう、或いはいろいろ批判を受けるだろう。併し少くとも現在におきましては競輪も国会に認められてそうして実際にこれが運営されている。こういうような観点から私どもはこのモーター・ボート競走法案も国会において協賛を得るのじやないかということを期待している次第であります。
○菊川孝夫君 次にお伺いいたしたいのは、提案理由の中にモーター・ボートの製造に関する事業の振興、第一の理由でありますが、この二頁目に同好のアマチユアの間で行われておりまして現在これらアマチユアの使用する競走用モーター・ボートだけでも百数十隻に上り、これに相当する練達なアマチユア選手がおりますが、かかる個人的嗜好によつて始められたものであるのでありますが、そこで一応この法律案が仮に通過いたしましたとするならば、これらアマチユアの持つているところの競走選手、それから競走用の舟艇というものをそのまま直ちに初め先ず第一にこれを転用すると、かような構想をお立てになつてるかどうか、新たにプロを育ててやるとこういうお考えでありますかどうですか。
○衆議院議員(坪内八郎君) 提案理由にも説明申上げておりますところのアマチユア選手ということにつきましては、大体この従前のアマチュアの方々は非常に知性の高い人が多いそうであります、例えば大学出だとか或いは非常に家庭もいいとかいうような関係の者が非常に多いのでございます。こういうアマチュア選手を省令によりまして試験をしてそしてそれを登録いたしまして、嚴重な監督のもとにそういつたものを中心として選手としてやろうというようなことも承わつているのであります。更に又新しい人も試験登録制によつてこれを採用して行わしめるということになるだろうと思います。又モーター・ボートの件につきましては今持つているモーター・ボートは更にこれを登録いたしましてこれもよく検討いたしまして、競走に参加させるということに相成つている次第であります。
○菊川孝夫君 次にお尋ねいたしたいのは、大体これが通るということになりますと、各地でいろいろそれぞれ都道府県に一つずつ競走会を設けるというようになつておりますが、全国で大体幾つくらいが設けられるか、その設置の予定箇所、今のところで提案者の方で考えられるのは大体どこへできるかわからんというのではないであろうと存じまして、大体予定の箇所はおありになるだろうと思うのでありますが、どれくらい予定しておられますか。主な箇所がありましたらすぐに出しましてすぐに用意してすぐ競走会をこしらえるというような県がありましたら。
○衆議院議員(坪内八郎君) 大体この
モーター・ボート法案が国会を通過いたしますと七月の二十日を期して、いわゆる海の記念日を期してこれを全国的にやつてみようというような狙いであつたのでありますけれども、現在この法案の審議が非常に愼重審議下さいまして遅れて七月二十日にこれを実行するということは実際問題としてどうかと思うのでありますが、期日はそういう関係で行うことに予定いたしたのであります。これを行うところの県はどのくらいかということでありますが、まだこの法律の通過もないことでございますし、更にこの競走会を作つて施行者に競走会を委託するに当りましても、出先の海運局を経由して本省でこれを決定する、又更にこれを行うにつきましてはそれぞれの政令を定めて実際監督面、或いは実施面にも監督をしなくてはならんというような事務的な関係もありまして、かなり技術を要しまして恐らく我々が計画しておりた期日には行えないような状態になつておる次第であります。恐らくこれを行う場合はどこかと申しますると、大体先ほど申上げましたように別にこの大がかりな施設の要しない所、又余り波の高くない所、又これを行うに條件のいい海面が使用されるわけでございまするが、差当り東京なら墨田川とか、或いは近くの逗子とか、或いはその他いろいろな湖水の方面で行われるだろうと思つております。今のところこの法律が通過するか、通過しないか、特に参議院で難航を続けておりますのでその点も難航を続けておる次第であります。
○菊川孝夫君 次に第四條の競走会でございますが、この競走会というのは都道府県内に各一カ所を限り設立するものとございますが、あとの設立規定はございませんが、これは構想は政令ででも定められると思うのでありますが、どういうふうにやるか知らんが、希望者は全部何万円、何百万円とか、或いは何千円というような限度をきめまして、これだけの金を出すならば全部競走全に入れるものであるかどうか、その点についてどういうように組織されるか、第四條の一、二、三、四項を見ましても三十四條の公益法人の規定によるということだけはわかつておるのでありますが、どういうふうにしてこしらえるつもりでありますか。
○衆議院專門員(堤正武君) お答えいたします。結局競走会は各地の海運局を通じて申込むんでありまして、その地方のこれに希望を持たれる方々がそれぞれグループを作りまして、それで海運局を通じて本省まで申告する、従つてそのうちどれを認可するということはそれぞれ本省の権限によつてきまるわけでございます。
○菊川孝夫君 この本省の認可というようなことはあるんでございますか。この規定の中に海運局で認可する、どうも、わしもずつと読んで見たのですが。
○衆議院專門員(堤正武君) お答えいたします。第四條の四項でこれは民法上の公益法人になつておりますので、この規定によりまして省令を作りましてその省令に基いて結局運輸大臣が認可するということになつております。
○菊川孝夫君 そうしまするとこの今の御説明によりますると、誰でも公益法人に入ろうと思つたら拒否することはできないのですか、そういう点はどうなつておりますか。所定の金さえ出せば。
○衆議院專門員(堤正武君) 金とかということは別問題といたしまして欠格規定がないから入れると思います。
○衆議院議員(坪内八郎君) その点ちよつとお答えいたしますが、地方の競走会、各府県に一つの競走会を置くことになつておりますので、それが複数制となつて現われた場合にはどうかというようなことじやないかと思います。
○菊川孝夫君 いやそうじやない、一つの競走会をこしらえようというときには、東京都へこしらえようとした場合に誰か発起人になつてどつと申込めば、これは極端な例ですがいわゆる百人でも五百人でも千人でも二千人でも、まあ競輪の実績から考えまして募集でもするということになれば、それは非常におもしろい或いは又有益であるというような見地から来る人もありましよう、或いはこれは金儲けになるというようないろいろな見地から入るだろうと思います。応募者はたくさん来ると思います。欠格條項はないのでありますから、そうすると誰でもこれを入れなければならん、法律で以て開放的なものであるか、それとも制限を付したものであるかこの点を。
○衆議院議員(坪内八郎君) その点でございますが、その点は法律にも謳つてありますように、都道府県が施行者でございまして、その都道府県の施行者によつて競走会にこれを委託いたして行うのであります。そういつた方面の取捨選択というものは大体において都道府県である程度これをいろいろ整理いたしまして、そうして完全なものにして地方の海運局を経由して本省に出すということになるだろうと思います。従つて誰をこれに入れないということはないのでありまして、適当な人が第一條の目的に合致するような人、或いは第一條の目的を達成するのに興味を持つて下さる方々が吸収される、かように存じております。
○菊川孝夫君 それは又非常に問題だと思うのであります。第一條の目的というのは、第一條の目的だと誰でも入れる。第一條の目的は不賛成だと言つて申込む人はないと思いますが、競走会に委任すると坪内さんは言つておりますが、これは競技をする競走会に。だから競走会の設置にまで都道府県がタツチするということはないはずだと思います。そういう点が起つて来るとむずかしい。その点の規定なんかは全然今の法律にはないと思うのです。自転車の競走会のときには、競輪法のときには誰も知らなかつた、ああいうふうになるということは知らなんだからずつと過ぎてしまつて大したことはなかつた。ところが今度は実績があるから、ドツグ・レースにいたしましてもこれは同様だと思います。相当これは関心を示しているだろうと思います。従つて、応募者も相当出て来るだろう、それをどういうふうに整理なさるということはないか。あなたの第一條の目的で適当な者と言いますが、そう簡單に、資本金が幾らとか、資本金のあるなしということによつても整理されるだろうと思いますがこれは一番根本だと思います。法律を出した後における、その点を一つ。
○委員長(植竹春彦君) 今その点についてちよつと專門員から。
○專門員(岡本忠雄君) 御説明がちよつとぴんと来ないだろうと思いますが、公益法人の認可につきましては主務官庁がこれをやつておる。運輸省には法人の認可、監督の省令が出ております。これは去年できております。それによつて運輸省がこれを審査し認可する、こういうことになります。省令ができております。
○菊川孝夫君 それはその公益法人を設立するときの話を言つているのですか。設立してしまつたのを認可するかしないかというのですか。
○專門員(岡本忠雄君) 設立の認可です。
○菊川孝夫君 その設立のときに公益法人をこしらえる手続というものはあるだろうと思う。これに応募者があつた場合に、これを受付けなければならんことになつているかどうか。それとも一部の有志だけでこれをこしらえてこれは公益法人だ、先に届出たものの勝になる、他を拒否するということになるのか。それとも一定の期間を通じまして誰でもこれに入つて来る者は拒むことはできない、こういうことになつておるかどうか、その点について。
○説明員(今井榮文君) 私船舶局管理課長でございます。局長が外出中で私代つてお答えさして頂きたいと思います。只今の点につきましては、実は民法上の公益法人に関する規定は、現在各種の法規にございますような詳細な規定はございませんので、多少運輸大臣が、自己の考え方に従いまして認可をし得るような、比較的広い規定になつております。従いまして、これについて認可申請が出て参りました場合、運輸省といたしましては、その認可の愼重性なり適格性を確保する意味におきまして、現在省内に公益法人適格審査委員会というようなものを設けてございます。これは運輸省全体で一本の組織でございますが、それによつてできる限りその組織、内容、或いは資産の状況とか、或いは構成員の資格というような点について十分検討を加えまして認可をいたして行きたいと思つております。但し最初一つ認可されますると、一府県に一つの競走会場設立を認められております関係上次の申請は受付けないということになるのではないかと考えております。
○菊川孝夫君 どうもピントが狂つている。私のお尋ねしていることは、実は公益法人の設立のときにその公益法人の設立、発起人というものができるだろう思う。その発起人でなくて応募人、これは公開に募集しなければならん、募集して応募して来た者は入れるかどうか。これは一個の権限を有する、表決権を有する者が、お前は入れんぞ、おれだけやる、こういうふうにやつてしまうものかどうか。そうして、ただ運輸省の、あなたの方と連絡のあるほうでぴたつとこしらえてしまつておれの方でやるということになるかどうか。この点についていわゆるオープンにして誰が行つてみても公益法人設立準備金が一応県内に公告をして、こういう條件で好きな方はお入り下さい、こういうふうにして公益法人ですから公の益になるのですから、公衆の益になる、公の益になることをやる、こういうわけですから、それをうまくしてしまうということになつたら問題だと思うのでありますが、ところがなかなかそうは行かん、実際問題としては行かんと思うのですが、その点がどういうふうにやるつもりかということをお尋ねしておる。
○説明員(今井榮文君) お答えいたします。公益法人の設立につきましては、一般の公益法人の設立と同じように、或る中心になる方々が発起して一般に公募するという方法もございますでしようし、又その人たちが東京の地元で一つの団体を作る場合もございましようし、そういうふうな構成員の結合についてまで、運輸省といたしまして指図することはできないのではないかと存じております。従いまして各地方におきまして競走会ができ上る際には、それぞれその地の実情なり何なりに従いまして、いろいろな方法で設立の準備が行われるものではないかと考えております。
○菊川孝夫君 今の御説明で大体わかりました、構想は。併し今までの公益法人というものと、この種の公益法人とは非常にいわゆる、何故私が申上げるかと申しますと、競輪のあの実績から考えましてそう簡單には行くものじやないと思います。今までの簡單な普通の公益法人、或いは公益法人とは少し性格が違います、率直に申上げまして。それは何故かと申しますと、余り競輪のことを申上げて恐縮でございますが、今言われており、新聞にも載つておるところから見まして、やはり同じような主格を持つた公益法人にならざるを得ないのであります。従いまして、普通の公益法人設立のときにいろいろの問題、紛争が起らないから、この競走会を設立するに当つても問題が起らないというふうにお考えになるのは認識の不足であると私は思うのであります。その点について構想を考えているかどうか、こういうことを聞いているわけです。
○説明員(今井榮文君) お答えいたします。その点につきましては非常にむつかしい問題があると思いますし、運輸省の私どもといたしましても、この種行政には全く今まで不馴れでございまして、果して十分自信を持つて今からそういうものの指導ができるかどうかを確言することは困難であると思います。ただ私どもといたしましては、この種競走会が本当に明朗且つ健康な一つのスポーツの内容を十分持つて、而も又舟艇なりエンジンに今後直接的に裨益して頂けるというような希望をつないでおりますので、そういう段階の設立につきましては、地方の競走会の、競走の施行者である府県の方々のその地域における実情によつて公正な立場でむしろ設立の募集をされることをむしろ期待しております。
○菊川孝夫君 あなたの御期待は勝舟投票券を伴わないならばその御期待はまさに的中いたしますが、これが伴う場合にはそれはそう簡單に的中しない。又これに伴いまして、売店或いはこれに伴う又小運送、小運送と申しましては語弊がありますが、バスその他の営業こういつたものが一般社会におきましては、そうあなたの御期待通りには私は行かんと思うのでありますが、あなたの方ではそれをスムースに普通の公益法人のように行くと思つて法律案をお出しになつたのでありますか。
○衆議院議員(坪内八郎君) 提案者といたしましては、そういつた競走会ができてその競走会のメンバーといいますか、そういつた者は主としてその土地の例えば造船業界の人とか、或いはこれが海面で行われる関係上、水産界、経済界とか、或いは金融界の相当紳士の方々がこれに参加してくれるであろうと、かように考えておりますので、今菊川委員のお尋ねのような点は先ず万般なかろうというふうに私どもは考えておる次第であります。
○小酒井義男君 今の質問に関蓮するのですが、やはりその競輪の場合なんかは、私の聞くところによると、非常にボスといいますと語弊がありますがボスが大きな施行の上に支配するという弊害がもうできているようなんですが、これをやつて行くとやはり同じことができて来るのではないかと思うのですが、提案者どうでしよう。
○衆議院議員(坪内八郎君) その点はお話の通り、多少懸念される点もあろうかと思うのでありますけれども、これを運営或いは指導監督して行くには、責任ある運輸大臣なり或いは所管の運輸省が愼重に検討を加えて、そしてそれぞれの指導のもとにこれを行いますので、競輪なんかで行われているようなボスの介入というものはないだろうと期待いたしておる次第であります。
○岡田信次君 この法案の第一條に、モーター・ボートの性能向上等云々とございまするが、これは自転車の競走の場合も又小型自動車の場合も同様であると思います。従いまして競輪なり、或いは小型自動車の競走と申しますか、この法律が通りましたその後の実績に鑑みまして、自転車なり或いは小型百自動車が第一條に謳つている目的を十分に果しておるかどうかということをお調べにたつたかどうか、その点を先ずお伺いしておきます。
 それから一番目といたしましては、モーター・ボートの競走は場所的には非常に制限される、それから天候、風でありますとか、或いは潮でありますとかこれらに制限されることが非常に多い、従つて開催される回数が非常に少いと思う、自転車や小型自動車に比べまして。でありまするから、開催される回数が少いから、この第一條の目的を達することが困難じやないかと、かように思うのでありまするが、提案者のお考えはどうであるか、この二点とじ
 更に第三番目といたしましては、もしこの法案の成立によりまして、この第一條の目的が達せられてモーター・ボートの性能の向上なり或いは品質の改善が行われましても、それが今日の国民生活にいかなる力を持つているかどうか、その三点をお伺いしたいと思います。
○衆議院議員(坪内八郎君) 競輪の目的が達せられているかというようなことにつきまして、私もこのモーター・ボート法の提案に当りましてはいろいろとこれについては承わつておりますけれども、大体において相当に目的を達しているように考えておるのであります。特に地方財政に寄與する面におきましては非常に甚大なものがありまして、その総計四十億といわれているくらいであります。特に私の関係市でございまするが長崎市のごときは、もうすでに長崎市の財政収入として八千万円くらいの収入があるように承わつております。従つて競輪のことはよくわかりませんけれども、大体においてそういつた技術面或いは自転車の振興或いは海外に対する宣伝そういつた面で、私は競輪は目的を達しているのではないか、かように考えておるのであります。
 更に第二点の、この第一條の目的を過するに当りまして、場所の関係がなかなかこれは問題だから簡單に行かんのではないかというようなお尋ねのようでありますが、場所というのは大体長さが八百メーターで実質的には五百メーターしか使わない、巾は八十メーター程度あればどこでもできるように相成つているのでありまして、勝舟券を買つた者が、山の上からでも或いはどこからでも見えるということになつておりますので、こういつた関係で、競走するのに一番場所の要らないことであるし、その点は容易であるということも承知しているのであります。
 更に第三点につきましては、堤專門員からお答えさせることにいたします。
○衆議院專門員(堤正武君) モーター・ボートの性能向上によりまして、大いに海事思想を普及し又技術方面にも進展して行くということは、この際非常に大事なことと思うのであります。と申しますのは、御承知のように、船用エンジンの小型百ジーゼルあたりになりますと、日本では非常にその性能のいいのがございませんので、戰争中に日本が機帆船を大いに奨励いたしましたがこれもやはり焼玉等が主でありまして、丁度私その仕事に携つておりますときに、ジーゼル・エンジンを以て変えようといたしましてもなかなかいいのがありませんで、結局、ドイツのヘツセルマンと申しますジーゼル・エンジンを転用するということで大分研究を進めておりましたが、これももう大した期待も持てなかつたというようなわけでありまして、仮にこの法案が通りましてエンジンの方面に工夫改良を加えますれば、日本の国家の船舶、殊に百トン以内の船舶で非常に経済的なエンジンが得られる結果になるのではないかというようなことも考える次第でありまして、将来舶用エンジンの方面に改良を加えるということにつきましては相当貢献するところがあるのではなかろうかと、かように存じております。
○鈴木清一君 提案者は先ほどからの競輪が前国会で認められているので、従つてこの法案を認めるようにというような御意見が大分あるようでありますが、御承知のように、競輪の方を出されたときにおきましては、いろいろ本当に射倖行為に対しまする、いわゆる間違つた行為であるという観念を持つて国会議員も全面的に反対しておつたのでありまするので、従つて今回の問題が出されましても、これが反対の立場の者は依然として反対しているということもお含み置き願いたいのであります。というのは第一條の目的についての今の御説明があつたようでありますけれども、提案理由の中に、海外に云々ということと、それからもう一つは地方財政の問題ということ、そこで海事思想の普及というようなこともいろいろ書かれてあるようでございますけれども、先ほど岡田さんの御質問をなされたうちで一番重大であつた、いわゆる国民生活向上の面において、今の経済状態を打開して行つて国民生活を幾分でも向上させようというために、どの点が、どれほどこれは性能をよくするということについて必要であるかということについて今一つお尋ねしたいわけであります。
 それから今一つは地方財政の根本の改善を図ると言われているようでありますけれども、このいわゆる射倖行為が含まれておりまする限りにおきましては、競輪、競馬、いろいろのドツグ・レース等から見ましても、決してこれは地方財政は或るほどこれを潤わされて、その県別によりますれば非常に公共事業に対しまするいろいろの財政が潤うておるようでありますけれども、併したがら射倖行為につられて行きましたところの人たちが、非常にその後、競輪のために、どうとか、競馬のためにどうとか言つて身を破綻の苦しみに陷れている人たちも非常に多い。教育上からいつても一方が潤うても、それがその人たちの生活を本当に向上させるため、或いは地方発展のために使われているようであるにかかわらず、それはやはりこうした行為によつて無理に一般の人たちがそこに呼びつけられて税金を納めて行くというような結果である。而もそんな射倖行為を投機的に考えても海事思想を普及しているということは、地方財政が幾ら潤えばといえども、本当に国家的の大きな意味から見る場合には、決して地方財政をそのようなことに利用するがために国民一般の思想が非常に悪くなつて行く結果になるとすれば私は大きな問題だと思う。そういう点について私どもは反対するのでありまして、その点をどうか一つ、どういうふうに御説明頂けますか、して頂きたいということと。
 今一つは私はこれは監督庁にお尋ねいたしたいのでありまするけれども、この法案を出されて、監督官庁といたしましては、国会で議決されてしまえばそれを今度は監督するためにはいろいろ考えましようという、その前に大きな国家の管理といたしまして、こうした法案をどんどん出されても、いいか悪いかということだけもはつきりして、お考えを若しお答えでき得たらして頂きたい。この三点を先ず一つお尋ねいたしたいと思います。
○衆議院議員(坪内八郎君) 第一点のお尋ねは先ほどの岡田委員のお尋ねと関連いたしておりまする、いわゆるこの第一條の目的を達成するに当つて、国民生活のどういつた面に潤つて行くのかという点であろうと思うのでありますが、この第一條に調つてありますように、それぞれこの目的は十分達せられると我々は確信してこの提案をしたわけでございまするが、特に私はこの目的の中に併せて海事思想の普及宣伝ということも謳つてあるわけでございまするが、私が申すまでもなく今日の日本の敗戰後における、あらゆる客観的な情勢或いは敗戰によつて僅か四つの島に限られた領土の中に八千三百万という人口が溢れているというような関係からいたしましても、私は海事思想の普及というものはむしろこれは大きく国家が或いは国家としてこれを取上げて、大いにそういつた海事思想の普及をしなくてはならんというようなことを私は非常に希望いたしているものであります。更に私は、私個人の意見でございますけれども、私どもはこういつた敗戰後の状態の中に置かれて生活いたしておりまする国民といたしまして、又日本の地理的或いはそういつた面からいたしましても、大いに将来我々は海事思想を普及してそうして将来の国家百年の大計を立てなければ日本は行詰るのではないか。私たちのこういつた意見は或いは誤解されたりその筋からもいろいろ意見があるところであると思うのでありますが、少くとも私たちはこの移動する国家ということを私は非常に興昧を以て考えておるのでありますが、我々国民が移動する国家、いわゆる海外に大いに発展して将来日本民族として伸びて行かなければならんというようなことも考え併せますると、特にこの海事思想の普及宣伝或いはそういつたための啓蒙ということは私は国策として大事な点ではないかと、かように考えている次第であります。従つて第一條の目的のそれぞれの点の振興をするに当りましても、或いは併せて海事思想の普及宣伝をいたしますのは、私は将来国民の生活なり或いは国家の運営にも、この法律の通過によつて寄與するところは大であろうと、かように考えております。
 更に又地方財政の改善を図るためにどうかというようなことにつきましては、この競走によりまして、七五%は勝舟券の投票者に配当することに相成つておりますけれども、残りの二五%は地方公共団体が一七%、三%が国、五%が競走会、こういつた配当に相成りますので、ひとしくそのパーセンテージの多い方は地方公共団体がこれを収入するということに相成りますので、その点にも私は大いに寄與することにもなると、かように考えております。従つてこの法案の起草をいたしました者は、ここにも毎日傍聴にお見えになつておりまする特に女性の方の福島世根という方がこれを起草し、又この人と協力して堤という方々がこの起草をいたしたのでありまするが、もともとこの法律は起草者が社会事業に貢献したいという非常にうるわしい気持から出発いたしたのであります。従つて若し委員各位のお許しを得ますならば、その起草者が幸いにして当委員会に傍聴いたしておりますので、参考までにその辺の事情もお聞き下さいますれば私は幸いだことと存じております。かように考えております。
 それから第三点の点につきましては、監督官庁のほうからお答えをさして頂きたいと、かように考えております。
○説明員(今井榮文君) 只今の御質問にお答えいたします。この法案の内容につきまして、その当否を判断する点につきましては、国の最高の意思決定機関である国会の判断によりまして、法案成立後におきまして運輸省がこれを忠実に施行するということは只今御指摘のあつた通りでございますが、こういう法案そのものが果していいものであるかどうかという点につきましては私どもは十分研究はいたしておりませんが、世界各国におきまして一般的に賭博行為は一種の行政犯としてこれを禁止しておりますが、各国とも多少の例外的な方法によりまして許可しているというふうな実状があるのであります。ところが例外的な許可によりまして行われているというものの中では、私ども運輸省の所管部局といたしましては、このモーターボート競走法は、これによつて得るところのプラスになる面が非常に多いのではないかというふうに考えております。例えばこれはその他のものに比べますれば、私ども結論が出るわけでおりますが、例えばエンジン或いは船体等につきましても、これほど端的にその性能なり或いは船形なりの向上に資するものはないようにも存ぜられます。又そのモーター・ボートそのものが狭い土地を使わずに比較的広やかな水面を使うという点、或いはその観光との結びつきというような点から考えましても、その例外的に認められるものの中では比較的プラスの面が多いのではないかというふうに考えております。
○委員長(植竹春彦君) それでは先ほどの坪内君の御提案の御発言ですが如何いたしましようか。
○鈴木清一君 どうですか、今少し質問して、それから若しなんでしたらお尋ねするという方法でもよろしいし又日にちは必ずしも今日でなくてもよろしい。私は少し質問してからにして頂きたいと思います。
○委員長(植竹春彦君) それではさように取計らいます。
○鈴木清一君 先ほどお尋ねいたしました海事思想普及について提案者の御説明があつたのですが、それと今観光事業に関連して云々という政府側からのお話があつたようでありますけれども、私は先ほどの御説明から行きますると、いわゆる限られたものが海事普及になるといいましても、それならば何か勝舟券というようなものを作らずにそうしたことをやれば海事普及になることが、むしろ一般の人たちを呼んで見せられる意味において私は趣旨は通るのではないか。勝舟券を持つということになりますれば、これは恐らく限られた人以外は本当に行くことができない。只今までの競輪等につきましても批判のありました対象は御承知のようにこれを商売にしている者もあるというような悪評、そうして行く人が本当に限られた人のみによつてこういう場裡に出入りするということは非常に非難の的の中心となつているわけであります。そういたしますと、勝舟券の問題にいたしましても、ボート・レースの問題にいたしましても、勝舟券に興味あり、射倖行為に興味ある者が結局それこそ日にちを無理にさいても行くというだけであつて、一般の人たちに対するいわゆる宣伝普及ということになり得ないのじやないか。若しそれを一般に公開するような処置においての競技場というものを作るようなことになつたならば、むしろ今度は地方財政云々で勝舟券の方に影響するということになればこれは話が逆になる。こうした点において今少しくお話を願いたいと思います。
 それといま一つは社会事業云々についてのお話もあつたようでありますが、そうだといたしますれば、これはこの利益を国家に納めてそうして使うところを国家に委任するという結果になり、又地方自治体に納めて地方自治体においてそれを使うということを委任されるということになると思いますけれども、御承知のように戰争犠牲者というものがただ戰争未亡人というような意味ではなくして、列車、電車に乗つてすでに御承知の通り傷病者といたしましては今国家の保障を余り與えられずに苦しんでいる人たちが多分にあるのであります。こうした面になぜはつきりした條文として、この人たちを救うという一つの目的のようなものを條文の中に入れてくれないかということも考えられるのでありまして、こうした点についても一つ御答弁願いたいと思います。
 それから品質の向上、いわゆる競輪にいたしますれば又理由もいろいろありましようけれども、少くとも御承知のように自転車の改造ということは国民生活の上に最も欠くべからざる必要性を持つているものでありまして、今の品質改良というようなこと、又海外に対しまする貿易という面につきましても、対象が非常に多いので、これは一応理が通るかと思いますけれども、限られたモーター・ボート、限られたエンジンの改善、というようなものになりますると、まあ国民生活の内容の中へ含まれて来るものは、御承知のように機帆船の小さな舟艇に対しまするエンジンしかあり得ない。併しながら而もこれには馬力も大体制定されておりまするけれども、本当に国民生活の上に漁業開発の目的が達せられるというためのエンジンを必要とする船としたなら、恐らくその程度のエンジンでは到底成立たないと思う。そういう意味から行きまして、やはりあまりにも国民の生活に直接影響があるということにも考えられないと思うのであります。
 それから又観光事業の問題でありますが、観光事業で観光と組合せてやるといたしましても限られた場所であり、而もどこでもやるとしうことができ得ない、勿論日にちが大体限られてやらなければならないという結果からいたしますと、観光目的の対象となり得る人たちは果して外貨獲得を中心とするのか、それとも国内におけるところの人たちに対しまする観光事業の目的とするのか。この比重の点についてもお伺いいたしたいと思います。
○衆議院議員(坪内八郎君) お答えいたします。第一点の勝舟券の件でありますが、私はこれは特定の人だけが買う、一般の人が買うのではない、一般的でないというお話でありますが、勿論この勝舟券を買う人もありましようし、又更にその勝舟券を買わなくても、広く一般的にこの競走を見物いたしまして、又見物させまして競走が行われますので私はあくまでもこれは一般的であると、かように考えている次第であります。
 更に又地方財政の改善を図るという面につきまして、競輪と比較対照いたしいわゆる今までの競輪のあり方からいたしまして、そういう財政面において社会事業が行われないのじやないかという御懸念も御尤ものお話でございますが、先ほどちよつと御説明申上げることを忘れたのでありますが、これはあくまでも発案者又提案者としても地方財政に寄與したい、地方公共団体の収入となつた財源についてはつとめてそういつた社会事業のためにこれを使用したいように我々は大なる期待を持つている次第であります。従つてこの発案者もそういつた意味でこの問題を取上げたというのが事実なんであります。更に又そういつた社会事業に寄與する、或いは社会事業のために費用を支出するということを條文で謳つたらよいじやないかというお話でございますが、若しも国会の皆様方の御意見が、そういうような條文を挿入することが適当であるという御意見でございますれば、それを條文に挿入して下さることも我々は結構だとかように考えている次第であります。
 更に又次のお尋ねの限られた場所でこのモーター・ボートが行われるので海に親しむ機会も少いし更に面接には外貨の獲得にはならないだろうし、目的に副わないじやないかというようなお尋ねであつたかと思いますが、これは比較的海面を利用いたしますので非常に競走が容易であるということが一つの狙いでもありますし、更に又そういつた勝舟券を買う人以外でも広く日本人はどつちかといいますと海に親しむ国民でもありますので、私は限られた場所と申しましてもこれは成るべく人の集合する或いは交通の便利のよい所或いはそういつた競走に適格した海を利用いたしますので、その点も私は目的を達するのじやないか、かように考えるわけであります。
 更に又観光事業に関係してのお尋ねでございましたが、この点も場所によつてはいわゆる我々国内人だけがこれを見たり或いは勝舟券を買うということになりますけれども、例えば東京周辺の逗子とか或いは仮に隅田川で行われるということになりますと、そういつた外人もこの勝舟券を買つたりこの競走を見たりいたしますので、大いに私は外貨の獲得にもなるのじやないかというふうに考えている次第であります。何かお伺いした点がありましたら更にお答えいたしたいと思います。
○鈴木清一君 只今あなたの御答弁の中から場所の問題が一つ出たようでありますが、これは競技場に対する條件があるようであります。これによりますと、勿論どこでもやれるというふうな今のお話のようでありましたけれども、非常に條件がむずかしく出ておるようであります。尤も條件がむずかしく出るくらいでなければこの競技にはおのずから不正の問題も出て来ると思うのであります。この條件を本当に充たしてやれるということになると、第四條の各県一個ということになります点についてどのくらいに與えられるか、例えば東京などではどういう所があるのか、或いは神奈川県でやる場合はどういう所があるとか全部とは申しませんが、大体具体的にお示し願いたい。というのは例えば神奈川で申しますと、神奈川県の中で若し相当やるといたしますと、御承知のように波高〇・四メートル以下ということになりますとちよつとない。それをたまたま今度はやれる水面となると川でも海でもよいということになりますので、従つて芦ノ湖、そういう所へ持つて行かざるを得ないということになりますと、若しも芦ノ湖でやつた場合には採算の上からいつたつて到底これは私は行く人も少いだろう、そうして又勝舟券というものに興味を持つ人はどこでも行くでしようが、一般の人のために見せるというような意味から行くならば非常に場所に制限される結果が起きて来るのであつて、これは一般普及という言葉には当てはまらない結果が起きると思うのであります。若しそうした点について具体的に考えて頂くところがありましたら一つお知らせ願いたい。
○衆議院議員(坪内八郎君) お尋ねの点誠に御尤もでございまするが、採算の点につきましては、採算がとれるかとれないかということは競走の生命でもありますので、あらゆる観点から考えまして人の集まる所又容易に採算のとれる所、そういう点を十分検討いたしまして行われることは申すまでもないのであります。なお又お手許に差上げた資料で大体御了承頂く点もあろうかと存じまするが、その場所の点につきましては海であろうが川であろうが、或いは湖水であろうが、これはできることに相成つているのでありますが、お手許に差上げてある資料にもありまするように、東京都であれば隅田川、或いは江戸川放水路、或いは神奈川県ならば横須賀、芦ノ湖、或いは相模ダムとか、或いは栃木県ならば中禅寺湖、こういうふうにたいがい適格する場所を大体において調べ上げているわけでありまするが、この資料を一つ御覽頂きまして又お答えいたしたい、かように考えます。
○鈴木清一君 では私はやめましてあとで又お聞きします。
○菊川孝夫君 もう一点最後に御質問申上げたい。第一にお尋ねしたいことは、仮にこれは誠にちよつと酷なような話ですが、第一條の目的を達成すること、達成さえすればいいのでありまして、仮に勝舟投票券の條章を廃止した場合にそれに応じられる用意はあるかどうか、これをやめる、削除するというような修正に応じられる用意があるかどうか、これは酷な話だと思いますが一つ。
 それから第二点といたしまして、この種の競技が非常に多いということ、これ以上殖やしたらどうかということが非常に批判の対象となつているということは事実でありますので、仮にこの法律を通すということになる、その修正といたしまして、神奈川県に一つ設けるということになつたら、神奈川県の競馬場を一つその代りにやめる、競輪場なり競馬場なりやめる、そういうふうな條件を附すということになると、これに応じられる用意があるかどうか。そうすると世の中の批判ということは非常に少くなるのだろう。例えば東京都の江戸川の放水路とか隅田川とかに設けることになつたら、東京都にある競輪場、競馬場のうち一つ、二つをやめる。こうしてこの形式でバラエテイにする、こういう恰好の行き方はどうだろう。これは国の政治のやり方上こういうことも考えられんことはない、実現はむずかしいかも知れませんが、この点についてどうでありますか。
○衆議員議員(坪内八郎君) 第一点の勝舟券を売ることについてこの第一條の目的を達せられれば削除してのその後の用意はどうかということでございますが、現在のところ提案者といたしましては、現在のこの提案内容以外には考えてないのでございまして、尤もこの勝舟券をそういつたことをやらないで第一條の目的が達せられる点は勿論他に考える点もあるでございましようけれども、現在のところ私どもといたしましては、この條項を削除いたしましたならば、法案の趣旨なり或いは第一條の目的が達せられないので、そういつた用意はないのでございます。
 それから第二点のお尋ねであるところのこの法案を通過させるに当つての一つの條件というか、そういうもので、神奈川県なら神奈川県の競輪、競馬を一つやめることを條件にしてというようなことのお尋ねでございますが、申すまでもなく競輪場は国会で認められておりますので、国会において廃案になれば別でございましようけれども、我々といたしましては競輪場を廃止するということを條件として云々ということは今のところ考えていないのでございます。
○内村清次君 提案者がお帰りになるそうでありますから、今日はこの第一條の問題につきまして、私は只今までの質問の要点から考えまして、提案者の御答弁の中に含まれておりまする意味においてまだ少し納得が行つておりませんからその点をちよつと一つお伺いいたします。
 第一のモーター・ボートの性能の向上及び品質の改善、こういう点につきましては、勿論競走をやりました関係でそこに持つて来るモーターが漸次性能の向上を競走的に図つて行くという点もこれは私は一応認めます。認めますが先般のこの合同委員会の席上において、運輸大臣は或る一議員の質問に対して、それでは他の方法を以てこのモーター・ボートの性能の向上、発展を期する方策があるかどうかという質問に対しては、運輸大臣はそれは別な方法を以てもあるというような御答弁があつたのでありまするが、提案者はこの競走をする過程において、モーターボート競走というものは唯一無二の品質向上の一番重要なるものである、それ以外にはないのだというようなお考えを持つておられるかどうか、この点先ず第一にお伺いいたします。
○衆議員議員(坪内八郎君) その点を科学的に検討いたしますれば、この法案によらないでもそういつたモーター・ボートの性能を向上或いは改善させる点はあろうかと思うのでありますけれども、現在の日本の場合客観的な情勢或いは日本の現状を考えますると、現在のところこの法律案の提案によつてそういつた性能の向上、改善はできると私は考えておりますけれども、これは多少技術的な面にもなりますので船舶局のほうからお答えいたさせたい、かように考えております。
○内村清次君 当局の御答弁はあとの機に譲るといたしまして、次の海事思想の普及でありますが、先ほど提案者のお考えでは日本が四つの島に閉込められている、而も四面海をめぐらされている日本の国民としては、海については関心を持たなければならない、その関心を持つための普及のためにこれをやるのだというような重大な御答弁があつたようでありますが、併しただ言葉は重大でありましても、問題は海事思想の普及といいますと、先般これは隅田川で試乗会を私は見学いたした次第であります。問題は河川でありますが、これが海にレースがあるといたしますと、海も眺めるでありましよう、汽船も眺めるでありましよう。或いは又港湾のいろいろな施設関係も眺めるでありましよう。併しそれだけのレース上から見まして、或いは今のモーター・ボートがレースをやつているところの状態を眺めましただけにおきまして、この海事思想の普及という大きな問題が、国民思想の上におきまして的確に把握できるかどうかという点、ほかに又海事思想という問題につきましては、どういうような具体的なお考え方を以てこの海事思想の普及という点をここに織込まれたのであるか、この点具体的に一つ御説明を願いたいと思います。
○衆議黄議員(坪内八郎君) この海事思想の普及ということにつきまして詳細に御説明申上げまするといろいろあるのでございますが、特に具体的に述べろということでございますが、先ほどのお言葉の中にもありました通り、このモーターボート競走を見ることにおいて、勝舟券を買う人或いは一般の人、国民大衆が何と申しますか、海に憧れる、或いはそういう海の環境と申しますか、そういう教育的な心理学的な点は又別な面であろうと思いますけれども、とにかく広くこのモーター・ボート競走によつて海の周辺に人を集結させる、そういうことにおいていろいろと私はこの海に対するいわゆる思想とか、考え方とか、或いは海の魅力とか或いはその壯快なるモーター・ボートの競走によつて非常に興味を持つとか、いろいろな点で海事思想は普及されると、最もこの法律の第一條に謳つているこの点のみによつて完全無欠に海事思想が立派に普及されるということは考えていないのでございますけれども、こういつたモーターボートの競走によつて海事思想の幾分たりともその普及に私は寄與する点があるのじやないかというようなことを考えて提案をした次第であります。
○委員長(植竹春彦君) ちよつと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
○委員長(植竹春彦君) 速記を始めて下さい。
○内村清次君 第三点ですが、この地方財政の改善を図るために行うと、この点でありまして、これは先ほどからも各委員から競輪の問題を対象にしてこれはこの競走法全体の意味も含めての質問が展開されておつたのでありますが、私はこの地方財政の改善という面につきましては條項の中にもその幾らかを地方財政に繰入れるという項があるわけです。併しただ私が観点を変えて御質問いたしますことは、提案者の方々、而も又坪内議員は自由党の幹部のかたでありますし、そういう方々が提案者になつていらつしやいますが、先般の地方の知事会議の席上におきましても、勿論現在の地方財政の健全化でない、いわゆる干衡交付金の増額を叫んでいるし、或いは又一面におきましては財政の改善も要望いたしておりまして、そうして一応はシヤウプ勧告で税制の改革がなされたといえども、まだ国が徴収するところの税を一つ地方に委譲してもらいたいという要望もあるのでありまするが、こういうようなレース関係を以ちまして、地方財政の改善をするというような観点でなくして、根本的に地方財政を確立させて行くというような大きな観点からして、自由党におきましてもお考えがあることであろうと存じまするが、そういう点に地方財政の改善を図るという大きな第一條の目的を掲げられるといたしましたならば、そういうような方向にお考えは及んでおらないのであるかどうか。それから又これに附帶いたしまして、競輪関係につきましては、これは勿論当時の状態としては、これは確かに一つの税制の混乱期でありまして、地方財政の確立が非常に不十分であつた、そういうときに競輪の許可設置によつて、地方財政をいくらかこれを受持つて行こうという各県の、或いは都市の思想があつたことは、これは私たちは否定できません。できませんが、実は出身県といたしましての恥を私は決してここで申上げるわけではないのでありまするが、熊本市におきましても、県二つの競輪の設置に対して、一つだけは熊本市に誘致されたわけでありますが、その誘致されたところの、許可をとつた過程においての出資状態において、或いは又はその競輪場を作るところの工事契約の上に対しての又一つの大きな事件において不正がなされたというような所で、大きなこれは問題に展開されておつたのでありまして、当時の市会議員のうちにおいては粛正議員連盟を作つて、そうしてこの究明をするというような大きな問題もあつたわけです。勿論レース関係に対するところの不正その他につきましては、これはさておくといたしまして、そういうような関係を惹起しておりました市の当局としては、何とかしてこの際投下したところの市の財源を、これを埋めるまではこの競輪をやろうというような関係で、今その経費の取戻しに競輪をやつているというのが熊本市の現状でありまするが、さような過程からいたしまして、各地に起つたいろいろの即ち問題からして、競輪の廃止という問題も相当大きく世論化して来ている状態であるのでありまするが、こういうような過程を通つて参りました競輪の財政補助の問題等、それから今本法案に載つておりまするところのこの地方財政の改善の意味というものは、提案者にいたしましたならば、先ほど私がお尋ねいたしましたような大きな観点からこの経緯に鑑みて御改善なさるというようなお考え方があるかどうか、この点を先ず伺います。
○衆議院議員(坪内八郎君) 大変傾聽に値いするお尋ねでございまして、お言葉の中には同感な点も多々あるわけであります。従つてこの第一條の地方財政の改善ということにつきましても、又お尋ねの第二点の点も相関連いたしていると思いまするが、我々自由党によらず、又社会党の内村さんにおかれましても、この地方公共団体の財政を如何に今後持つて行くかということにつきましては、これは大変国策的にも大問題でございまして、その方法にはいろいろあろうと思います。更に又近く講和会議が締結されますれば、こういつた占領されている関係によつて御承知のごとく終戰処理費が千三十七億円も計上されている関係でございますので、若しも占領が解けまして、そうして日本が本当に新らしく独立国で発足いたしましたならば、そういつた終戰関係に使つている終戰処理費を地方財政の改善に支出するように、或いは減税の面に使うなりいろいろ方法があろうと思います。更にそういつた終戰処理費をうんと公共事業費に計上して、そういつた公共事業の促進を図るというような点もいろいろあろうかと存じます。従つて地方公共団体の財政の改善を図るということは、これはひとしく超党派的にそれによるところの立法措置なりそういつたものは大いに検討して行かなければならんということは、全く同感でございまして、
   〔委員長退席、理事岡田信次君委員長席に着く〕
 私どもの政党のみならず、各党ともこの点は十分愼重に考慮されている点でございます。従つてこの地方財政に寄與するという点につきましては、今いろいろとお話がございましたが、国策的にはそういつた国の情勢が変化して行くのに鑑みまして、いろいろその関係は検討されなければならんとかように考えまするが、それについては、先ほど簡單に申上げました通り、占領下から脱却いたしまして、国のまつりごとが直接我々国民の手によつて行われるようになりますると、相当これは性格が変つて行くだろうと考えることは私が申すまでもないことでありまして、御承知の通りでございます。従つてこのモーター・ボートの競走法案によつて生ずるところの地方財政の改善という点につきましては、先ほどもお話申上げました通り、この競走を施行するに当りまして、一〇〇%のうち七五%は勝船券を購入した人に振向ける、更に三%は国に、又五%は競走主と、こういつた関係に相成るのでございまするが、とにかく一七%というものは地方財政に寄與するのでございまして、その点は国の大きな将来の財政計画、或いは地方公共団体の自治体の財政面というものと考え合せまして、直接或いは間接に私は改善を図ることができる、或いは地方公共団体の財政に寄與することがあるのではないかということを期待いたしているのであります。更に又この地方財政の改善を図るという点は、先ほど私が申上げました通り、この提案者や発案者であるところの、堤徳三君とか、或いは女の方であるところの福島世根君たちが、本当にこれによつて免じた財源によつて地方公共団体が収入があつたならば、その収入は広く公共事業或いは社会事業に投じてもらいたいというのが念願でございますので、そういつた関係からいたしましても、私は十分この競走によつて地方財政の財政面の改善なり或いはそういつた面を或る程度育てるというような点に大いに寄與するであろうと、かように考えておる次第でございます。
 なお私は今日までいろいろと御説明申上げて参りましたけれども、十分私の説明が足りない点もあるのでございまするが、こういつた関係につきまして、若しも委員各先生方が御希望下さいますならば、直接これを発案した関係者の福島世根君、堤徳三君もお見えになつておられますから、そういつた発案の当初の考え方というものを御参考までに短時間でもよろしうございますからお聞き取り下さいますと、その点も比較的はつきりして来るのじやないかと考えておりますので、この点もよろしく委員長においてお取計らいを願いたいと、かように考えております。
○理事(岡田信次君) ほかに提案者並びに政府当局に御質問ございませんか……ちよつと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
○理事(岡田信次君) 速記を始めて下さい。北海道開発法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会に対し連合委員会を申入れすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(岡田信次君) それではさように決定いたします。それでは速記をしばらくやめて下さい。
   午後五時三十八分速記中止
   ―――――・―――――
   午後五時五十一分速記開始
   〔理事岡田信次君退席、委員長着席〕
○委員長(植竹春彦君) 速記を始めて下さい。
 それではこの法律案につきましては本日はこの程度にいたしまして次の問題に移りたいと思います。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(植竹春彦君) それではさように取計らいます。ちよつと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
○委員長(植竹春彦君) 速記を始めて下さい。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五十二分散会
 出席者は左の通り。
   委員長   植竹 春彦君
   理事
           岡田 信次君
           高田  寛君
   委員
           仁田 竹一君
           内村 清次君
           金子 洋文君
           菊川 孝夫君
           小酒井義男君
           高木 正夫君
           前田  穰君
           前之園喜一郎君
           松浦 定義君
           鈴木 清一君
  衆議院議員
           坪内 八郎君
  国務大臣
   運 輸 大 臣 山崎  猛君
  政府委員
   海上保安庁長官 柳澤 米吉君
  事務局側
   常任委員会專門
   員       岡本 忠雄君
   常任委員会專門
   員       古谷 善亮君
  衆議院事務局側
   常任委員会專門
   員       堤  正武君
  説明員
   運輸省船舶局管
   理課長     今井 榮文君


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