競 技 内 容
競艇は全国24ヶ所どこでも6隻立てで行われる。
選手は全国に約1,500名がいて、社団法人全国モーターボート競走会連合会(東京都港区、以下「連合会」と呼ぶ)の配分に基づき、1競走当たり40〜50名の選手が各競走場に赴いている。
レースは一般競走とG1、G2、G3、SG競走の5種類に分けられる。
これから、競技に関するいろいろな事項を説明する。

1.競技の種類 2.選手について 3.コースについて 4.舟券の種類 5.競技の方法
6.ボート・モーターのこと 7.プロペラのこと 8.級別について



1.競技の種類

SG競走
SG(スペシャルグレード)競走(通称エスジー競走)が最も格が上で、その中でも年末に行われる「賞金王決定戦競走」(賞金獲得上位者12名による競走)が格上で、賞金も優勝すると1億円(賞金王シリーズ優勝は1,600万円)を獲得できる。その他のSG競走は、

@笹川賞(5月)  ファン投票
Aグランドチャンピオン決定戦(6月) SG競走の成績上位者
Bオーシャンカップ(7月)  GT競走以上の成績上位者
Cモーターボート記念(8月)各レース場の推薦者と開催施行者の希望
D全日本選手権(10月) 勝率上位者
E競艇王チャレンジカップ(11月) 獲得賞金上位者

の6種類で、優勝賞金はそれぞれ4,000万円となっている。
ちなみに、全タイトルを取ると4億円近くになるが、今まで達成されたことはない。
多くて3タイトルくらいである。


(注)SG競走と周年記念、施設改善記念の競走については、昭和40年代は特別競走と呼ばれ、その中でも「鳳凰賞」(現在は総理大臣杯)、「全日本選手権競走」、「全国地区対抗競走」(昭和48年で廃止され翌年から「笹川賞」が行われるようになった。)、「モーターボート記念」を四大特別競走と称していた。


 (面白データ)笹川賞競走歴代ファン投票1位&優勝者

GT競走
SG競走に次ぐグレードの競走がGT(ジーワン)競走。どのような競走がこれに該当するかというと、次のとおり。
@高松宮記念競走(住之江)
A競艇名人戦競走
B新鋭王座決定戦競走
C女子王座決定戦競走
D地区選手権競走→関東、東海、近畿、四国、中国、九州の6地区
E周年記念競走→各競艇場年1回
Fダイヤモンドカップ競走(施設改善記念)→該当競艇場
Gモーターボート大賞→年間8場


GU競走
GU(ジーツー)競走は次のとおり。
@秩父宮記念杯競走(琵琶湖)
A競艇祭競走(大村)


GV競走
GV(ジースリー)競走は次のとおり。
@新鋭リーグ戦競走
A女子リーグ戦競走
B特別タイトル競走(企業杯)

一般競走
上記以外の競走は、一般競走と呼ばれる。

(注)グレード制について
 従来は、特別競走と一般競走という呼び方しかなかったが、昭和56年(1981年)に日本中央競馬会が「ジャパンカップ」を創設し、世界に通用する「競走レベルの格付け」を図る必要性から59年(1984年)にグレード制を施行、それに伴い各競技もグレード制を導入することになった。
 競艇は、昭和63年(1984年)4月からSG、GT、GU、GV、一般競走、5種類に区分し施行した。この際、GT競走以上の競走は、原則としてA1級の選手でないと出場できないこととした。

 



2.選手について

 選手になるためには連合会が行う「選手資格検定試験」を受け合格し、選手登録をする必要がある。とはいってもどのような試験かもわからないし一般の人がこの試験に合格するとは考えられない。
 では、どのようにしたらいいのだろう。
 モーターボートの選手になるための学校が福岡県柳川市にある。「やまと競艇学校」と呼ばれている。 この学校は連合会が運営するもので、基本的にはボート、モーターの機材費あるいは授業料等は無料だ。ただ、食費として月額5万円くらいかかるらしい。
 選手となるためには、まずこの学校に入学し、1年間、学科、実技を勉強し、先の資格検定試験を受け合格すると言う段取りになる。(100%が受かるわけでもないらしい。)
 
 試験に合格し、登録を行うと一事業主の選手ということになるのだが、レースで死亡あるいは怪我をすると家族の生活もおぼつかなくなるので、「日本モーターボート選手会」という互助会みたいな組織の一員となる。この組織は、各県に支部がありそこに所属することになる。

選手の養成の歴史について
(モーターボート連合会30年史より)



3.コースについて


 全国24競走場は大別すると、湖沼(桐生、琵琶湖)、海水のプール(平和島、浜名湖、蒲郡、常滑、津、丸亀、下関)、淡水のプール(戸田、多摩川、三国、住之江、尼崎、芦屋、唐津)、海岸を利用(鳴門、児島、宮島、徳山、若松、福岡、大村)、河川を利用(江戸川)に分けられる。
 コースはどこも1周300mで通常は3周する。昔は、優勝戦のみ4周で、その他は3周だった。優勝戦の面白さを長く見せようとの思いだったのだろうが、周回を重ねても着順は変わらず、着差はつく一方なので、平成3年に3周になった。
 周回すべてが左回り。左回りの理由は、水の上の交通ルール(船舶は全て右側通行)に従っているためというが、エンジンの回転(プロペラの回転)にもよるのではないだろうか?
 水面の違いだが、海水と淡水とあるが、それぞれ癖がある。海水はやわらかく、淡水は硬いとよく選手は言う。海水では少々波があってもクッションがありひざに来ないが、淡水は硬くてひざに来るとかいっている。

 
4.舟券の種類

 舟券の種類(勝舟投票券の種類)は次の7通りある。
 
種 類 的中の条件 当たる確率
単勝式 1着の艇を当てる 1/6
複勝式 2着までに入る艇の1艇を当てる 2/6
拡大2連勝複式 3着までに入る2艇を当てる 3/15
2連勝複式 1・2着になる艇を当てる 1/15
2連勝単式 1・2着になる艇を順位通りに当てる 1/30
3連勝複式 1・2・3着になる艇を当てる 1/19
3連勝単式 1・2・3着になる艇を順位どおりに当てる 1/120

 この中で一番人気があるのは3連勝単式である。
 当然、初心者には複勝式が一番当てやすいのだが、配当が少なく、そこそこ儲けようと思うときは2連勝単式の3点買いがお奨め。


5.競技の方法

競艇は、6艇で競技は行われる。なぜ6艇か?
昭和27年にはじめてこの競技は行われたが、昭和28、29年の全日本モーターボート選手権競走の優勝戦の成績を見ると、8艇で行われている。
現在の競艇関係の規定を見ると、8号艇まで色が決まっているし、着順点も決められている。(昔はもっと複数艇決められていたような気がする)ということは、6艇でなくてもいいということ。
競艇関係の人に聞いた話では、水面の広さが限られているので、現在の広さでは、6艇以上は危ないということ。また、現在の売上げの状況を考えると、走る数が増えたほうが面白そうだが、経費もかかるので無理な話。
競艇の面白いところは、枠番は決まっていても、走るコースは自由ということ。選手は、アウトが得意な人もいれば、インが得意な人もいて、それぞれが勝つために自分の好きなコースを取り合う(これを「待機行動」という)。
とはいっても、陸上もそうだが、インコースがアウトコースより走る距離は少なくてすむので、インが有利ということになる。
では、みんなインがいいのかというと、そういうわけでもない。競艇のもうひとつの特徴に、フライングスタートというのがある。他の競技は同じ位置から「よーい、ドン」のオンラインスタートだが、競艇の場合は、コースのセンターにある大時計を見ながらスタートラインを1〜0秒のなかでスタートを切れるようにボートをコントロールする。ボートは、大体秒速22.2メートル(時速80キロ)走る。このフライングスタート法だと最大、スタートが早い人と遅い人では22.2メートルの差が生まれてくる。
ボートの場合、一旦差がつくと、追い上げるのは難しい。何故か?追い上げる人は、前を走る人の波の影響を受けることになる。ということは、同じ性能であれば、絶対に追い抜けないということになる。
そこでスタートのときは、どの選手も限りなく0秒に近づくスタートを狙ってくる。
だが、先に説明した「待機行動」で、インコースを狙うためには、他の人よりもいち早くコース取りをしなければならず、そのために助走の距離が短くなり、0秒に限りなく近いスタートをしても、加速がついてないスタートになってしまう。その点アウトコースは、目一杯に加速をつけてスタートを切ることができるということになる。
このコース取りをどうするかは、一緒に走る選手の顔ぶれ、エンジンの調子、水面状況これらを判断し決めることになる。
下記の図は第2ターンマークからスタートラインまでの図である。
下図でスタートラインと書いてあってラインが引かれているが、実際上は、センターポールという目印があるのみ。ややもすると5mに赤い三角の旗をつるしたロープが張ってあるので、これをスタートラインと思いがちだがこれはスタートライン5m手前のしるしである。これを5m標識旗と呼んでいる。
黄色いものは45m標識旗、青は80m標識旗と呼んでいる。
これらのものは選手のためにあるもので、先にボートは1秒間に22.2m走ると記載したが、例えばスタートラインを大時計が0秒を差しているときにスタートすることを考えると、150mでは6.9秒前くらい、3.7秒前、2.2秒前くらいと選手が自分のエンジンの調子などを加味し、目標タイムを設定し、それに合わせて行くことになる。




6.ボート・モーターのこと

 競馬では馬はオーナーの持ち物。競輪、オートでの馬にあたる乗り物は自分のものである。では、競艇のボート・モーターは誰のものか?
 競艇も競馬と同じようにオーナー制度を採るつもりだったらしいが、昭和27年に競艇が始まった頃、世の中はまだまだ敗戦後を引きずっており、山のもの海のものともわからない競艇に投資するするものなどなく、仕方なく競艇場がボート・モーターを準備するようになった。昔の出走表を見ると、ボート・モーターにも賞金がついていた。
 1つのレース場で必要なボート・モーターは数学的に考えると1レースで6人、1日12レースだから6×12=72という答が出るが、各レース場ともそんなに保有していない。というのは、1つのレース場にあっせんされる選手の数は、GT、SGなどは52人あっせんされているが、そのほかのレースでは40人チョット。ということは、予備を見ても60隻(基)所有していればいいことになる。
 選手は、抽選によりこのボート・モーターが貸し与えられ、自分の責任において整備を行うことになる。でも、いろんな選手が使ってるうちに、各ボート・モーター(ボートの場合は整備することはほとんどない。行うとしてもワックスを塗る程度か)に性能差が出てくる。そうなると、ボート・モーターで成績が左右されてしまうので、成績が均等になるように、非開催期間中に、整備士により整備が行われている。
 先ほど、選手が整備と書いたが、ボート・モーターはレース場の持ち物であり、そのものが早く壊れたり、性能が悪くなったりすると経費はかかるし、レースは面白くなくなるということで、全国的に整備基準を設けて選手の行う整備をチェックしている。この整備基準に抵触すると、選手生命を絶たれることもある。

モーターの整備箇所

 モーターは一体どのようなところを整備するのであろうか?
 考え方として、

 1. 摩擦を少なく
 2. ガソリンと空気の混合割合を適度に
 3. 混合気への点火時期をかえる
 4. 外に逃げる熱を少なくする
 5. 爆発のエネルギーを駆動部にうまく伝える
 6. その他

などがあげられると思う。
1.については「ピストンリングを変える」、「本体の組み換えを行う」など2.については「キャブレターのフロート位置を変える」、「キャブレターを洗浄する」、「リードバルブの取り付けを変える」など、3.については「電気の点火位置変える」、4.や5.については「ピストンを変える」、「本体の組み換えを行う」、「ギヤーの噛み合わせを変える」など考えればいろんなことが想像できる。
 選手は、そのときのモーターの調子を見ながら、どこを調整したら性能がアップするか、整備基準の範囲以内において整備を行っている。


7.プロペラのこと

 整備の中で近年重視されているのがプロペラ。
 プロペラは選手の持ち物である。
 プロペラはどのようなところを整備?調整するのか?
 ここで、ネジを考えてほしい。ネジの溝が荒くなっているネジは1回転でもネジは大きく動く。しかし、ネジを回すときの力はいることになる。逆にネジの溝が細かいものは、1回転ではほとんどネジは進まない。しかし、ネジを回すときにかかる力はいらない。
 プロペラもこれと同じことで、プロペラのひねりをきつくすれば、ボートの進む距離は伸びるが、モーターにかかる負荷は大きくなる。逆に、ひねりを少なくすると、進む距離は少ないが、モーターにかかる負荷は少なくなる。
 選手は、モーターの性能、その日の天候、選手の走り方などによりこのプロペラのひねり具合などを調整している。ただ、プロペラは回転体であるため左右のバランスは大事で、選手は各自専用のプロペラゲージなるものをつくり左右のバランスにも注意を払っている。


8.級別について

 競艇選手は、ランクに関係なく一緒に競技を行っている。(特別競走はランク上位しか出場できない)しかし、これでは成績のいい選手、悪い選手に差が生じないので、級別により1ヶ月あたりのあっせん日数が違っている。A1,2級選手は12日、B1級で8日、B2級で6日くらいである。
 では、この級別はどのように決めるのだろうか。
 級別の決め方は、まず、級別を決めるための審査対象期間が2期に分けられ、前期が5月1日から10月31日まで、後期が11月1日から4月31日までとなっている。それぞれの期間の競走成績がまとめられ、次に掲げる基準に従い級別が決められる。この級別は、前期が1月1日から6月30日まで、後期が7月1日から12月31日まで適用となる。

種類 基  準
定率 連対率・勝率 事故率 出走回数
A1級 20% 2連対率30%以上、3連対率40%以上で勝率上位の者 0.70以下 70回以上
A2級 20% 2連対率30%以上、3連対率40%以上でA1級を除く勝率上位の者 0.70以下 70回以上
B1級 50% 2連対率10%以上、3連対率20%以上でA1級及びA2級を除く勝率上位の者 0.70以下 70回以上
B2級 A1級、A2級、及びB1級以外の者

●勝率の計算の仕方
 級別決定基準の勝率の計算の仕方だが、1着から6着までにそれぞれ着順点が定められておりその合計点を出走回数で割って求める。
 ただし、競走の種類、レースの種類によって着順点が少しずつ違っている。

(SG競走)
優勝戦
5隻 6隻 7隻 8隻
1着 13 13 13 13
2着 11 11 11 12
3着 7 9 9 10
4着 6 8 8 9
5着 5 6 6 7
6着   5 5 6
7着     5 5
8着       5



優勝戦以外
5隻 6隻 7隻 8隻
1着 12 12 12 12
2着 10 10 10 11
3着 6 8 8 9
4着 4 6 6 7
5着 3 4 4 5
6着   3 3 4
7着     3 3
8着       3


(GT競走及びGU競走)
優勝戦
5隻 6隻 7隻 8隻
1着 12 12 12 12
2着 10 10 10 11
3着 6 8 8 9
4着 5 7 7 8
5着 4 5 5 6
6着   4 4 5
7着     4 4
8着       4


優勝戦以外
5隻 6隻 7隻 8隻
1着 11 11 11 11
2着 9 9 9 10
3着 5 7 7 8
4着 3 5 5 6
5着 2 3 3 4
6着   2 2 3
7着     2 2
8着       2

(GV競走及び一般戦)
優勝戦
5隻 6隻 7隻 8隻
1着 11 11 11 11
2着 9 9 9 10
3着 5 7 7 8
4着 4 6 6 7
5着 3 4 4 5
6着   3 3 4
7着     3 3
8着       3


優勝戦以外
5隻 6隻 7隻 8隻
1着 10 10 10 10
2着 8 8 8 9
3着 4 6 6 7
4着 2 4 4 5
5着 1 2 2 3
6着   1 1 2
7着     1 1
8着       1

(計算例)
GT競走で次の成績だった選手の勝率は?
 2 3 2 4 2 2 2 1 2 B(2は準優勝戦)

 着順点は
 1着 1本 =12点×1=12点
 2着 6本 =10点×6=60点
 3着 1本 = 8点 ×1= 8点
 4着 1本 = 7点 ×1= 7点
 優B    =       12点
            合計 99点

 出走回数が10回だから
  99/10=9.90が勝率となる。

= 以下次回 =
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